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N1分析とは?顧客のニーズを掘り下げる重要性やメリットを紹介
「N1分析」というワードを聞いたことがありますか?
現代、企業が取り入れるべき分析手法の1つとして耳にしたことがあるかもしれません。
しかし詳細についてはまだあまり理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
インターネット技術やデジタルコンテンツの発展により情報過多となったこの現代、消費者の目は肥え、ニーズも多様化・細分化してきています。
そのため、競争の激しい市場で自社商品を効率よく顧客に選んでもらうには、大量生産やマスコミュニケーションよりも、顧客1人1人のニッチなニーズに寄り沿っていくことが重要になりました。
これらの理由から、消費者の多様性に柔軟に対応することが求められる現代において、ユーザー起点のマーケティング=「N1分析」が注目されるようになりました。
そこで今回の記事では、ペルソナ分析との違いやメリットに触れながら、N1分析について、以下の流れでご紹介していきます。
- N1分析とは?
- N1分析のメリット・デメリット
- N1の分析の実践方法
この記事をお読みいただくことで、N1分析の重要性や、具体的な取り組み方がわかるようになり、商品企画やリニューアルの際に、売上アップに繋げやすくなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
N1分析とは
N1分析とは、「実在する特定の顧客1人」を徹底的に分析するマーケティング手法です。
この分析手法はP&Gでブランドマネージャーやマーケティングディレクターを歴任し、その後ロート製薬やロクシタン、スマートニュースなどでも活躍した西口一希氏によって提唱されました。
N1分析の「N1」という言葉は、データの取得対象が1人だけであること、つまり「N=1」であることを意味しています。
まずは、N1分析をおこなう目的や重要性、ペルソナ分析との違いについて解説していきます。ご自身の会社で行っている分析手法と比べながらぜひご確認ください。
N1分析の目的
N1分析の目的は、1人の顧客が商品購入に至るまでの深層心理を徹底的に分析・理解し、一人ひとりのニーズに合ったニッチな商品開発や販売をすることにより、会社の売上アップに繋げること。
この徹底したユーザー起点のマーケティングにより、競合他社にはない自社だけの強みを打ち出し、顧客に選ばれる商品開発や企業戦略を打ち出すことができます。
N1分析はなぜ注目されているのか?
インターネットが私たちの生活に根付いて以降、人々は日々膨大な情報に触れるようになりました。SNSやECサイトなどのレコメンド技術が発達すると共に、消費者の趣向やニーズはますます細分化してきています。
そういった背景の中、マーケティングの世界は、大きな集団を対象とした一方的な広告宣伝(マスマーケティング)から、顧客のニーズや行動を理解し、ロイヤリティを高める顧客中心主義への考え方にシフトしていきました。
顧客のニーズや行動をより深く理解することこそがマーケティングの成功に繋がることから、1人の顧客ニーズを徹底的に深掘りする「N1分析」が注目されるようになったのです。
また、同時にIT技術の発展によりマーケティングにビッグデータの活用が進んだことで、顧客の趣向や行動がより詳しく分析できるようになったことも原因の1つと言えるでしょう。
N1分析とペルソナ分析の違い
N1分析と近い意味で、「ペルソナ」という言葉を知っている人は多いと思います。
2つともターゲット設定で活用するという括りでは同一ですが、明確な違いがあります。それは、分析の対象顧客が「実在するか否か」です。
N1分析は、実在する1人の顧客をリサーチ対象としており、根拠と具体性のあるニーズや行動を分析できます。これらの情報から売上アップに効果的な事業戦略を打ち出すことができます。
一方で、ペルソナ分析は、仮説から想像される架空の人物像をリサーチ対象としているため、分析の対象顧客が実在しません。
社内で共通の人物像=ペルソナを定義し、商品やサービスに一貫性を出すために活用される分析方法です。
N1分析とペルソナ分析のどちらを使うべきかについては、どちらにもメリットとデメリットが存在するため、使い分けしながら両方を使うことが望ましいです。
N1分析のメリット・デメリット
ここまでN1分析の目的とペルソナ分析との違いについて解説してきました。
ここからは、N1分析をマーケティング手法として取り入れた時のメリットとデメリットについて紹介していきます。
メリット
◾️ 実在する顧客からの情報のため説得力がある
前述のとおり、実際に存在する顧客をリサーチ対象とするため、根拠に説得力があります。マーケティングには正解がないと言われる中で、筋の良い仮説を発見するために有力な手掛かりとなります。また、最終的に顧客への確認も実施できるので、仮説が間違ったまま突き進むリスクを避けられます。
◾️ 販促活動だけでなく商品開発にも活かせる
個人の購買モデルを深掘りするため、傾向把握に留まらず、根本的な行動心理まで徹底的に調べることができます。よって、販売や営業を想定したマーケティングだけでなく、商品の開発や研究にまで役立ちます。
デメリット
◾️ 選定した顧客により成果が左右される
1人の顧客を選定して分析するため、ピックアップした顧客によっては望んでいた成果とならない可能性があります。また、その顧客からどんな情報を知りたいかを事前に明確にしておかないと、売上向上のために有益な情報が得られにくくなります。
◾️ 分析コストと人材不足
大企業であれば分析コストに回す予算の余裕があることが多いですが、中小企業だとどうしてもマーケティング分析用のコストは後回しにされがちです。N1分析による費用対効果を把握できると、そのための予算を確保しやすくなります。
また、専門的な知識が必要とされるため、マーケティング知識をもった人材が会社にいないこともあげられます。
ペルソナ分析のメリット・デメリット
対して、ペルソナ分析のメリット・デメリットも比較してみましょう。
メリット
◾️ N1分析よりも少ない手間でターゲット設定ができる
実在する顧客から情報収集するN1分析に比べ、ペルソナ分析は仮説から想像される架空の人物像をターゲット対象とするため、社内のディスカッションや、マーケター個人の裁量などで、時間をかけずにターゲティング設定できるメリットがあります。
◾️ 関係者が同じイメージを共有できる
ペルソナは、ターゲットとなる顧客像をわかりやすく表した架空のキャラクターです。
このキャラクター設定により、チーム全員が「誰に対して製品やサービスを提供しているのか」という点で共通の理解を持つことができます。
これは、製品開発者、マーケティングチーム、セールス、カスタマーサポートなど、異なる部門のメンバー間で一貫性のあるビジョンを持つことを可能にし、戦略策定から施策実行にいたる間に起こりうるブレを防ぐことに繋がります。
デメリット
◾️ 実際の顧客データに基づいた架空のペルソナ作成が難しい
ペルソナ分析は、時間をかけずに行える反面、実際の顧客データを詳しく把握できていない人が分析してしまうと、表面的で根拠の薄い仮説によってターゲット像が構築されます。
また、マーケターの主観や、チームの少人数のみでも策定できてしまうため、主観的解釈や先入観による誤った顧客像を描いてしまうリスクがあります。
現実が正しく反映されていないペルソナに従って戦略や施策を遂行しても、本質的なニーズとアプローチがマッチせず、施策の効果が薄くなってしまう可能性が高くなります。
このようなデメリットを防ぐためには、多面的な視点からのデータ分析や、定期的なペルソナの見直し、第三者による視点の導入をすることが重要になります。
N1分析の実践方法
N1分析を正しく行うには、分析対象の顧客選定がとても重要です。
N1分析のデメリットでも解説したように、顧客のピックアップを誤ると、得られる情報に偏りが出たり、十分な情報量を得られなかったりする可能性があるからです。
そのため、N1分析では「5セグマップ」と「9セグマップ」と呼ばれる2つのフレームワークを使って自社顧客の状態別にグルーピングし、それぞれのセグメントに対して仮説立てをします。
その後、最も効果が期待できる特定のセグメントから1人の顧客を選定し、インタビューを行い仮説の検証を行います。
ここからは、これら2つのフレームワークを活用した具体的な分析の進め方を解説します。
実際にご自身の会社でN1分析を実践する状態をイメージしながら読み進めてみてください。
5セグマップ
5セグマップは、上の画像のように現在の自社顧客を、購買履歴や購買頻度、認知状態によって5つの属性に分類します。
- ロイヤル顧客 …認知あり/購買頻度が高い
- 一般顧客 …認知あり/購買頻度が中くらい
- 離反顧客 …認知あり/購入経験あり
- 認知・未購買顧客 …認知あり/購買経験なし
- 未認知顧客 …認知していない
自社の顧客をこの5つのセグメントに分けたら、実際の顧客を各セグメント別にグルーピングしていきます。
可能であれば、競合他社の顧客層に関しても購買意欲によって同じようにグルーピングし、それぞれの割合を自社顧客と比較しましょう。
そうすることにより、自社と競合の差を把握できるので、アプローチすべき属性が判断しやすくなります。
9セグマップ
顧客層をより深く理解するために、5セグマップに継続購買の有無に関する切り口を加えて、未認知顧客層以外のセグメントを細分化したものが9セグマップです。
仮説立て
5セグマップと9セグマップの2つのグループ化によって顧客を細分化した後は、各セグメントに属する実顧客の割合を確認しながら、競合とのセグメント割合を比較します。
売上向上に繋がる可能性が高い顧客カテゴリをピックアップした上で、現状の要因について仮説を立てましょう。
次にその仮説検証のための、個人の心理状況まで引き出せる質問を作成していきます。
インタビュー
仮説立てで作成した質問に基づき、実際にインタビューします。
ポイントは、質問する顧客には知識がないことを前提に、わかりやすく質問することや、積極的に話しやすい雰囲気を作り出すことです。
また、直接仮説を個人に説明し、仮説に対する印象をヒアリングする方法も少なくありません。
仮説の検証と打ち手立案
インタビューが終わったら仮説を検証しましょう。
仮説と異なっていた場合は、その理由を細かく検証し、原因となっている行動特性などにも焦点を当てていきます。
仮説の検証を経て、誰にどんな商品や自社の強みをPRしていくべきか具体的な打ち手を立案します。
注意点として、N1分析は「実在する1人の顧客」にアプローチするが、その1人だけに当てはまる仮説となればよい訳ではなく、同じセグメントに属する他の顧客についても意見が一致するかの調査が必要です。「1人」と「全体」それぞれの分析を見比べて、はじめて仮説に確証をもたせることができるのです。
まとめ
今回は顧客のニーズを掘り下げる「N1分析」について詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか?
人材不足や、分析コストに資金を費やせないという理由から、N1分析を取り入れている中小企業はなかなか少ないですが、貴社はいかがでしょうか?
N1分析の知識は、商品企画や商品のリニューアル、企業戦略立案の際など、売上アップなどさまざまな面で活躍しますので、ぜひ取り入れてみることをオススメします。
アライブなら、N1分析をはじめとした様々な分析手法を駆使し、精緻な分析を行った上で、最適なマーケティング戦略を策定するため、本質的な課題にアプローチができ、成果に繋がる施策を実行することが可能です。
顧客分析から販促施策まで、集客に関するお悩みはぜひアライブまでご相談ください。
経験豊富なマーケティングチームが貴社の課題とニーズを徹底的にヒアリングの上、最適なご提案をさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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