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変化に強くなるOODA(ウーダ)ループとは?PDCAとの違いや活用例も
昨今はITテクノロジーの急速な進化や社会の複雑化により、将来の予測が難しく先行き不透明な状態を表す「VUCA時代」と言われるようになっています。
変化が激しいビジネス環境に対応しきれず、競合企業に後れを取ってしまっていると感じていませんか?
特に日本企業はリスク回避や全体最適を求める企業文化から意思決定が遅くなりがちに……。
そんな時代の中、不確実で変化の激しい市場に迅速に順応し競争力を高めるために、マーケティングの世界では「OODA(ウーダ)ループ」というフレームワークが注目されるようになりました。
この記事では「OODAループ」の基本から実践的な使い方、PDCAサイクルとの違いまでわかりやすく解説。
最後までお読みいただき「OODAループ」を実務に活用することで、市場の変化に対応するための迅速かつ意思決定と成果につながる行動ができるようになります。ぜひご覧ください。
OODA(ウーダ)ループとは?
OODA(ウーダ)ループとは、激しい状況変化の中でも適切に対応するための行動サイクル理論のことです。
OODAとは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字からきており、4つのフェーズで構成されています。
このフレームワークに沿って物事を進めていくことで、効率的で迅速な意思決定が可能になります。
OODAループの歴史と背景
元々OODAループは、戦闘機パイロットだったジョン・ボイド氏が提唱しました。
彼は非常に不利な状況においても、正確に状況を把握し、素早く最適な決断をして形勢を逆転させたことから「40 Second Boyd」の異名を持っていたそうです。
ボイド氏は、空中戦においてスピードと適応力が勝敗を分ける重要な鍵であることに気づきました。
戦場での迅速な意思決定と行動の重要性を理論化した結果できたのがOODAループです。
ビジネス環境の変化が激しく、競争が激化する現代の市場において、OODAループは企業が迅速かつ柔軟に対応するためのフレームワークとして欠かせないものとなっています。
OODAループの4つの意味と実践方法
OODAループの4つのフェーズについて、具体例とともに解説していきます。
各段階の意味を理解するだけではなく、実際に使いこなせるようになりましょう。
1. Observe(観察)
OODAループの最初のフェーズは「Observe(観察)」です。
環境や状況の変化を把握し、関連する情報を収集します。
この段階では、データを広範囲にわたって観察し、正確でリアルタイムな情報を得ることが重要です。
情報の収集方法には、市場調査や顧客からのフィードバック、社内のデータ分析などがあります。
具体的には、新製品を市場に投入する際、ソーシャルメディアのコメントやレビューサイトの評価・業界レポートをチェックする。さらに、3C分析やSWOT分析などのフレームワークを用いて市場のトレンド、競合他社の動向、顧客のニーズなどを観察するといった方法があります。
「Observe(観察)」のフェーズで活用できる現状分析のフレームワークについては別記事でも詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください
>> 3C分析とは? 目的や具体的なやり方をわかりやすく解説
>> SWOT分析とは?メリットや実践方法をわかりやすく解説
>> PEST分析とは?事業に影響する外部要因を評価する具体的なやり方
>> 業界の競争強度や収益性を評価する「5フォース分析」とは?
2. Orient(状況判断)
「Orient(状況判断)」フェーズでは、Observe(観察)によって得られた情報を整理・分析し、自分たちの立ち位置を判断したり意思決定に必要な情報を見極めたりします。
この段階ではまだ「決定」はしません。状況判断の目的は、次に取るべき行動の方向性を定めることです。
実践方法として、観察フェーズで得た情報を分析し、自社の製品の強みや弱み、市場における立ち位置を評価しましょう。
「Orient(状況判断)」のフェーズではSTP分析というフレームワークが活用できます。
以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてお読みください。
>> STP分析とは?マーケティング戦略の質を高める具体的なやり方を解説
3. Decide(意思決定)
前ステップの「状況判断」をもとに最適な行動計画を立てる「Decide(意思決定)」フェーズ。
複数の選択肢を検討し、それぞれのリスクと利益・不確実性を評価します。
最終的には、最も効果的で実現可能な戦略を選択する必要があります。意思決定をする際は、組織全体の戦略的目標と一致しているか必ず確認しましょう。
製品のマーケティング戦略を決定する際の例を挙げると、プロモーション方法や価格設定、販売チャネルなどの具体的な戦略・施策を決定する、などがあります。
4. Act(実行)
最後の「Act(実行)」フェーズでは、「Decide」で決定した具体的なアクションプランを関係者に共有し実行に移します。
行動フェーズの重要な要素は、計画の実行だけでなく、その結果をモニタリングし、フィードバックを収集することです。
この「Act」で実行した行動の結果を可視化し、再び「Observe(観察)」することで、次のOODAループに向けた改善点を見つけ、迅速に対応できるようになります。
PDCAサイクルとの違い
OODAループはPDCAと似た「1つのサイクルを繰り返し、行動し続けるフレームワーク」ですが、その目的はそれぞれ異なります。役割や目的に応じて2つを使い分けましょう。
まず、OODAループは、変化に柔軟に対応するため、迅速な意思決定に焦点を当てます。
競争や変化が激しいビジネス環境下では、OODAループを上手く活用できると、素早く適切な意思決定・実行が可能になります。
対してPDCAサイクルは継続的な改善プロセスに焦点を当てます。
これは、計画に基づいて行動し、その結果を検証して次の改善に繋げるというサイクルです。Plan・Do・Check・Actionの4フェーズを循環させ、計画と実行の精度を高めて長期的な品質改善やプロセスの最適化を図る目的に適しています。
OODAループとPDCAサイクルの活用シーンをわかりやすく整理すると以下のようになります。
OODAループ
新しい市場に参入する際など、急な市場変動に対応する必要がある場合、競争相手の動きを予測しながら迅速に戦略を立てる場合。
PDCAサイクル
既存の業務プロセスの改善や品質管理において、計画的に効果を測定しながら改善を進める場合。
OODAループは営業やマーケティング、販売促進などの攻めのシーンで有効なのに対して、PDCAサイクルは既存業務の改善や品質向上など守りのシーンで活用するのが効果的と言えるでしょう。
OODAループ活用時の4つの注意点
OODAループは効果的な意思決定のフレームワークですが、注意点もあります。
取り入れる場合には、OODAループのデメリットをよく理解しておきましょう。
1.リアルタイムかつ正確なデータが必要
正確な情報がなければ適切な状況判断や意思決定ができないため、最新かつ正確なデータが必要です。
観察フェーズの精度を高めるために、最情情報を常に取得し続ける体制を整えることが重要となります。
2.中長期的改善や定型作業の改善には不向き
OODAは即応性を重視するため、中長期的な改善や定型作業の改善には向いていません。
業務運用の中でOODAループが活きるのは、トラブル対応の場合です。
業務効率化や品質向上などの目標を達成する場合には、PDCAのような別のフレームワークの活用を検討しましょう。
3.失敗するリスクの理解と管理
OODAは現状を観察してすばやく判断していくフレームワークであり、前例の検証はその過程に含まれていません。
そのため、前例にとらわれてしまうことで本来避けられる失敗が起こる可能性があります。
万が一、予測できなかった結果や失敗が発生したら、すぐに前のプロセスに戻り、方向転換を迅速に行うことが重要です。
OODAループでは、計画通りに進めるだけでなく、予期しない事態にも柔軟に対応できるようにする力が求められます。
4.思いつきで行動するリスクの管理
スピードを重視するあまり、観察を十分に行わずに行動してしまう可能性があります。
裏付けのない思いつきの行動を繰り返しても、労力ばかりがかかり改善は期待できません。
迅速に動くことを心がけつつ、正確な観察を怠らないようにしましょう。
まとめ
今回の記事はOODAループについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
OODAループは、変化の激しいビジネス環境で生き残るために重要な意思決定の考え方です。
ぜひこのフレームワークを取り入れて、顧客や市場の変化にあった素早い意思決定ができるようになりましょう。
競争の激しい市場環境で勝ち抜くためには、OODAループを上手に活用し、柔軟で迅速な戦略設計〜実行が重要となります。
自社のリソースやノウハウが不足していて「OODAループなどの重要な思考法を活かした戦略の立案も実行も専門家にサポートしてもらいたい」という企業様は、ぜひ一度アライブへご相談ください。
経験豊富なマーケティングの専門チームが貴社の課題をヒアリングの上、最適なアドバイスをさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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